ふるさと納税と赤十字・認定NPO法人への寄附の控除の違い|同じ1万円で戻る額が8,000円と約1,600〜4,000円に分かれる理由

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ふるさと納税は「寄附金控除」の一種ですが、日本赤十字社や共同募金会、認定NPO法人への寄附とは、戻ってくる税金の額がまったく違います。同じ1万円を寄附しても、ふるさと納税なら上限額の範囲で8,000円が控除されるのに対し、所得税率20%の人の場合、認定NPO法人への寄附では多くて4,000円、住民税の控除がない学校法人などへの寄附なら約1,600円しか戻りません。この違いは、住民税の「特例控除」がふるさと納税(都道府県・市区町村への寄附)にしかないことから生まれます。この記事では、寄附先ごとに控除がどう違うかを、国税庁と総務省の資料にそって整理します。記載の内容は2026年10月4日に確認したものです。
寄附金控除は「所得税」と「住民税」の2階建て
個人が寄附をしたときの税の優遇は、所得税と住民税で別々に決まっています。
所得税では、国税庁の案内(タックスアンサー No.1150)にあるとおり、国・地方公共団体、認定NPO法人、財務大臣が指定した公益社団法人・公益財団法人、学校法人や社会福祉法人などの特定公益増進法人への寄附が「特定寄附金」として控除の対象です。控除額は「その年の寄附金の合計額(総所得金額等の40%が上限)− 2,000円」で、これを所得から差し引く「所得控除」が基本です。認定NPO法人や公益社団法人などへの寄附は、所得控除の代わりに「(寄附金 − 2,000円)× 40%」を所得税額から直接引く「税額控除」を選ぶこともできます(所得税額の25%が上限、No.1263)。
住民税では、総務省の案内にあるとおり、都道府県・市区町村への寄附(ふるさと納税)のほかに、住所地の都道府県共同募金会と日本赤十字社の支部への寄附、そして都道府県・市区町村が条例で指定した団体への寄附が対象です。控除額は「(寄附金 − 2,000円)× 10%」が基本で(都道府県の指定なら4%、市区町村の指定なら6%、両方なら10%)、総所得金額等の30%が上限です。
ここまでは、ふるさと納税もほかの寄附も大きくは変わりません。違いが出るのは次の「特例控除」です。
ふるさと納税だけにある「特例控除」が差を生む
ふるさと納税には、上の基本的な控除に加えて、住民税の特例控除があります。計算式は「(寄附金 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税率)」で、住民税所得割額の20%が上限です。この特例控除があるため、所得税の控除・住民税の基本分・特例分の3つを合わせると「寄附金 − 2,000円」の全額が控除され、自己負担が2,000円になります(控除のしくみの詳細)。
赤十字や共同募金会、認定NPO法人への寄附には、この特例控除がありません。所得税の控除と住民税の基本分だけなので、寄附額の一部しか戻らない形になります。
ふるさと納税の寄附先は、上限額の目安を出してから選ぶのが確実です。
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1万円を寄附したとき、寄附先でいくら戻るか
所得税率20%(復興特別所得税を含めて20.42%)の会社員が、1万円を寄附した場合で比べます。いずれも確定申告をし、上限額の範囲内に収まっているものとします。
寄附先 | 所得税 | 住民税 基本分 | 住民税 特例分 | 戻る合計 | 自己負担 |
|---|---|---|---|---|---|
都道府県・市区町村(ふるさと納税) | 8,000円×20.42%=1,634円 | 8,000円×10%=800円 | 8,000円×69.58%=5,566円 | 8,000円 | 2,000円 |
住所地の日本赤十字社支部・共同募金会 | 1,634円(所得控除) | 800円 | なし | 2,434円 | 7,566円 |
認定NPO法人(税額控除を選択、住民税の条例指定あり) | 8,000円×40%=3,200円 | 800円 | なし | 4,000円 | 6,000円 |
認定NPO法人(税額控除を選択、住民税の条例指定なし) | 3,200円 | なし | なし | 3,200円 | 6,800円 |
学校法人・社会福祉法人など(所得控除のみ、条例指定なし) | 1,634円 | なし | なし | 1,634円 | 8,366円 |
同じ1万円でも、ふるさと納税は8,000円が戻り、認定NPO法人への寄附は多くて4,000円、所得控除だけの団体では1,634円です。この差は「寄附先が偉いかどうか」ではなく、ふるさと納税に特例控除という上乗せの仕組みがあるためです。なお、認定NPO法人の税額控除(40%)は、所得税率が低い人ほど所得控除より有利になります。所得税率が5%や10%の人は、ふるさと納税以外の寄附では税額控除を選ぶほうが戻る額が大きくなります。
赤十字や認定NPO法人への寄附は、ふるさと納税の上限額とは別枠です。ふるさと納税の上限額を使い切ったあとに別の団体へ寄附しても、ふるさと納税側の控除は減りません(寄附金控除全体の上限である総所得金額等の40%・30%の枠は共有します)。
手続きの違い:ワンストップ特例はふるさと納税だけ
手続きにも違いがあります。ふるさと納税には、確定申告をしなくても控除を受けられるワンストップ特例がありますが(ワンストップ特例とは)、赤十字・共同募金会・認定NPO法人などへの寄附にはワンストップ特例はありません。控除を受けるには確定申告が必要で、確定申告をしない人は住所地の市区町村に住民税の申告をします。
もうひとつ注意したいのは、ふるさと納税でワンストップ特例を使っている人が、ほかの寄附で確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になることです。確定申告をする場合は、ふるさと納税の分も寄附金控除の欄に書き直す必要があります(ワンストップ特例が無効になる条件)。年の途中で赤十字や認定NPO法人に寄附した人は、年末に「今年は確定申告をするかどうか」を決めてから、ふるさと納税の手続きを選んでください。
証明書も違います。ふるさと納税は寄附金受領証明書または「寄附金控除に関する証明書」(XML)、認定NPO法人への寄附はその法人が発行する領収書と認定を受けていることの証明書の写し、政治団体への寄附は選挙管理委員会の確認印がある書類が、申告のときに必要です。
どちらに寄附するかの考え方
税の戻りだけで見れば、ふるさと納税が最も有利です。ただし、ふるさと納税は「自治体への寄附」に限られ、赤十字の救援活動や特定のNPOの事業を直接支えることはできません。被災地を支援したい場合は、自治体への災害支援の寄附(返礼品なし)という形でふるさと納税を使う方法があります(災害支援のふるさと納税)。特定の団体の活動を支えたい場合は、戻る額が少なくても、その団体への直接の寄附を選ぶことになります。
両方をする人は、ふるさと納税は上限額の範囲で、ほかの団体への寄附は「戻る額は少ない」と割り切って、別々に考えるのが分かりやすい整理です。
まとめ
ふるさと納税とほかの寄附の違いは、住民税の特例控除があるかどうかです。ふるさと納税は上限額の範囲で自己負担2,000円、赤十字・共同募金会への寄附は所得税の控除と住民税の基本分だけ、認定NPO法人への寄附は所得税の税額控除(40%)が選べるものの住民税の特例分はありません。ワンストップ特例はふるさと納税だけの手続きで、ほかの寄附で確定申告をするとワンストップ特例は無効になります。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)、国税庁 タックスアンサー No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき、総務省 ふるさと納税以外の寄附金税制、総務省 ふるさと納税ポータルサイト 税金の控除について。数値例は所得税率20%・上限額の範囲内で確定申告をした場合の当サイトの試算。2026年10月4日に確認。


