住民税の申告だけしている人のふるさと納税|住民税の控除は受けられるが所得税分(1万円で400〜1,600円)は戻らない。副業20万円以下の会社員・年金受給者はワンストップ特例か確定申告かをどう選ぶか
住民税の申告だけの人は、住民税の控除は受けられるが所得税分は戻りません。

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「所得税の確定申告はしなくていいが、住民税の申告だけは市区町村に出している」という人がいます。会社員で給与以外の所得が20万円以下の人、年金収入400万円以下で他の所得が20万円以下の年金受給者などです。この人たちがふるさと納税をした場合、住民税の申告で寄附金税額控除を申告すれば住民税の控除は受けられますが、所得税の控除は受けられません。所得税分まで控除を受けるには、ワンストップ特例を使うか、確定申告をする必要があります。この記事では、2026年10月5日に国税庁・港区・横浜市・小平市の案内で確認した内容にもとづき、3つの手続きの違いと、どれを選べばよいかを整理します。
結論:住民税の申告だけだと所得税分(1万円の寄附で400〜1,600円)が戻らない
手続き | 所得税の控除 | 住民税の控除 | 使える人 |
|---|---|---|---|
ワンストップ特例 | 所得税分も住民税から控除(申告特例控除) | あり | 確定申告・住民税申告をする必要のない給与所得者・年金所得者で、寄附先が5団体以内 |
確定申告 | あり(還付) | あり | 誰でも。副業の所得などがある人、6団体以上に寄附した人、医療費控除などを受ける人 |
住民税の申告のみ | なし | 基本分・特例分あり | 確定申告をせず、住民税の申告だけをする人 |
港区の案内には「確定申告をせずに住民税の寄附金税額控除のみを受けようとする場合には、寄附をした翌年の1月1日現在お住まいの区市町村に住民税の申告をしてください。ただし、この場合には、所得税の寄附金控除を受けられませんのでご注意ください」とあります。住民税の控除(基本分・特例分)は受けられるので、自己負担は2,000円に所得税分を足した額になります。
所得税分は「(寄附額−2,000円)×所得税率」です。1万円の寄附なら、所得税率5%の人で400円、10%で800円、20%で1,600円(復興特別所得税を含めるとそれぞれ約408円・817円・1,634円)が、住民税の申告だけでは戻りません。寄附額が5万円なら、10%の人で約4,900円です。控除の内訳は控除のしくみの記事、所得税率の調べ方は所得税の税率の記事にまとめています。
どの手続きでも、寄附先と返礼品の選び方は同じです。寄附先の数(5団体以内かどうか)は、ポータルサイトの寄附履歴で確かめられます。
「確定申告は不要だが住民税の申告は必要」になるのはどんな人か
国税庁の「確定申告が必要な方」の案内では、給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円以下の人は所得税の確定申告が不要です(No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」)。年金受給者は、公的年金等の収入が400万円以下で、公的年金等以外の所得が20万円以下なら確定申告が不要です(確定申告不要制度)。
ところが住民税には「20万円以下なら申告不要」という決まりがありません。小平市のQ&Aには「給与所得以外の所得がある場合には、所得の多少にかかわらず申告していただく必要があります」とあり、横浜市の案内でも、1月1日現在に住所がある人のうち所得税の確定申告をしない人は、原則として3月15日までに市民税・県民税の申告が必要です(給与所得だけで勤務先から給与支払報告書が出ている人、公的年金等だけで控除を追加しない人などは除く)。つまり、副業や雑所得が20万円以下の会社員、年金以外に少額の所得がある年金受給者は、確定申告はしなくてよくても住民税の申告はする、という状態になります。
この人がふるさと納税をしたら:ワンストップ特例は使えない場合がある
ワンストップ特例は、港区の案内にあるとおり「確定申告や住民税申告を行う必要のない給与所得者や年金所得者等」が対象です。給与以外の所得があって住民税の申告をする人は、この条件に当たりません。住民税の申告をするときに、寄附金受領証明書(または寄附金控除に関する証明書)を添えて寄附金税額控除を申告すれば住民税の控除は受けられますが、所得税の控除は受けられません。
所得税分も含めて全額(2,000円を除く)の控除を受けたいなら、所得税の確定申告をするのが確実です。確定申告をすれば、20万円以下の副業の所得も一緒に申告することになり(申告する以上は20万円以下でも申告書に書きます)、住民税の申告は別に出す必要がなくなります。確定申告の書き方は確定申告のやり方の記事、副業がある会社員の整理は副業がある会社員のふるさと納税の記事にまとめています。
年金受給者の場合:確定申告不要制度でもワンストップ特例は使える
公的年金等の収入が400万円以下で他の所得が20万円以下の年金受給者は、確定申告が不要で、住民税の申告も(年金以外の所得がなく控除の追加もなければ)不要なことが多いので、ワンストップ特例の「確定申告や住民税申告を行う必要のない年金所得者」に当たります。この場合はワンストップ特例で所得税分も住民税から控除されます。ただし、年金以外に少額の所得がある人や、医療費控除などを住民税の申告で追加する人は、ワンストップ特例の対象から外れるので、確定申告をするか、所得税分をあきらめて住民税の申告で寄附金税額控除を申告するかの選択になります。年金受給者の上限額は年金受給者の上限額の記事にまとめています。
手続きの期限と、間に合わなかったとき
住民税の申告の期限は、横浜市の案内では毎年3月15日(土日なら翌開庁日)です。確定申告の期限も3月15日ですが、所得税の還付を受けるための申告(還付申告)は翌年1月1日から5年間出せます(還付申告は5年さかのぼれるの記事)。住民税の申告だけをしてしまった後で「所得税分も取り戻したい」と気づいた場合も、5年以内なら確定申告(還付申告)を出せば、所得税の控除を受けられます。ワンストップ特例の申請書は寄附の翌年1月10日必着で、間に合わなかったときの扱いはワンストップ特例の記事にまとめています。
まとめ
住民税の申告だけをしている人がふるさと納税をした場合、住民税の申告で寄附金税額控除を申告すれば住民税の控除(基本分・特例分)は受けられますが、所得税の控除は受けられません(港区の案内)。所得税分は1万円の寄附で税率5%・10%・20%の人がそれぞれ400円・800円・1,600円です。全額の控除を受けるには、ワンストップ特例(確定申告も住民税申告も不要な人で5団体以内)か、確定申告をしてください。給与以外の所得が20万円以下の会社員は、所得税の確定申告は不要でも住民税の申告は必要(小平市・横浜市の案内)なので、ワンストップ特例ではなく確定申告を選ぶのが確実です。
出典:港区「寄附金税額控除について」(住民税の申告のみの場合は所得税の寄附金控除を受けられない、ワンストップ特例の対象)、国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」、国税庁「確定申告が必要な方」(公的年金等の確定申告不要制度)、小平市「給与所得以外の所得についての住民税の申告は必要ですか」、横浜市「市民税・県民税の申告について」。所得税分の金額は当サイトの計算。2026年10月5日に確認。


