年金受給者のふるさと納税の上限額はいくら?公的年金等控除から所得割額を出す手順と計算例

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年金を受け取っている人のふるさと納税の上限額は、給与所得者向けの「年収別の早見表」では出せません。年金は給与所得控除ではなく公的年金等控除で所得を計算するうえ、控除額が65歳未満と65歳以上で違うからです。この記事では、年金収入から上限額の目安を出すまでの手順を、国税庁の速算表と総務省の計算式を使って整理します。記載の内容は2026年9月26日に確認したものです。
そもそも控除を受けられるのは、老齢年金など税金がかかる年金を受け取っていて、住民税の所得割がかかっている人です。遺族年金・障害年金だけの人は控除を受けられません。見分け方は年金受給者はふるさと納税で控除を受けられる?で説明しています。
年金受給者の上限額が出るまでの4段階
計算の流れは次のとおりです。給与所得者との違いは①だけで、②以降は同じです。
- 年金収入 → 雑所得:公的年金等控除を引く(国税庁の速算表)
- 雑所得 → 課税所得:基礎控除・社会保険料控除などを引く
- 課税所得 → 住民税の所得割額:10%を掛け、調整控除を引く
- 所得割額 → 上限額:総務省の式(所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円)
③の所得割額は、毎年6月ごろに届く住民税の納税通知書(年金からの特別徴収の場合は「税額決定通知書」)に書かれています。通知書が手元にあるなら①〜③は不要で、その所得割額を上限額計算ツールに入れるだけで④が出ます。通知書のどこを見るかは住民税の通知書で控除額を確かめる方法で説明しています。
① 年金収入から雑所得を出す(公的年金等控除)
国税庁タックスアンサーNo.1600の速算表(令和2年分以後、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合)です。
| 年齢 | 公的年金等の収入金額 | 雑所得の金額 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
| 60万円超 130万円未満 | 収入 − 60万円 | |
| 130万円以上 410万円未満 | 収入 × 0.75 − 27万5千円 | |
| 410万円以上 770万円未満 | 収入 × 0.85 − 68万5千円 | |
| 770万円以上 1,000万円未満 | 収入 × 0.95 − 145万5千円 | |
| 1,000万円以上 | 収入 − 195万5千円 | |
| 65歳以上 | 110万円以下 | 0円 |
| 110万円超 330万円未満 | 収入 − 110万円 | |
| 330万円以上 410万円未満 | 収入 × 0.75 − 27万5千円 | |
| 410万円以上 770万円未満 | 収入 × 0.85 − 68万5千円 | |
| 770万円以上 1,000万円未満 | 収入 × 0.95 − 145万5千円 | |
| 1,000万円以上 | 収入 − 195万5千円 |
年齢はその年の12月31日時点で判定します。国民年金・厚生年金のほか、企業年金や確定拠出年金の年金受け取り分も「公的年金等」に含まれます。
年金収入から入力できる外部のシミュレーションも使えます。ただし社会保険料などを一律の仮定で置くため、通知書の所得割額から出した数字より粗い目安になります。さとふるの控除上限額シミュレーションを見る
②③ 課税所得と住民税の所得割額
雑所得から所得控除を引いたものが課税所得です。住民税の基礎控除は43万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)で、ここに国民健康保険料・介護保険料などの社会保険料控除、配偶者控除などが加わります。課税所得に10%(市町村民税6%+道府県民税4%)を掛けたものが所得割額で、そこから調整控除(基礎控除だけの人は2,500円)が引かれます。
社会保険料の額は住んでいる市区町村と年金額で変わるため、以下の計算例では仮の数字を置いています。正確な所得割額は通知書で確認してください。
計算例(65歳以上・年金収入250万円)
単身、他の所得なし、社会保険料控除を25万円と仮定した場合です。
| ① 雑所得 | 250万円 − 110万円 = 140万円 |
| ② 課税所得 | 140万円 − 43万円 − 25万円 = 72万円 |
| ③ 所得割額 | 72万円 × 10% − 2,500円 = 69,500円 |
| ④ 上限額の目安 | 69,500円 × 23.558% + 2,000円 ≒ 18,300円(100円未満切り捨て) |
23.558%は所得税率5%のときの係数(20% ÷(90% − 5% × 1.021))です。年金収入だけの人は、課税所得が195万円を超えない限り所得税率は5%なので、この係数を使います。
同じ前提で年金収入300万円(社会保険料控除30万円)なら、雑所得190万円 → 課税所得117万円 → 所得割額114,500円 → 上限額の目安は約2万9,000円。65歳未満で年金収入200万円(社会保険料控除20万円)なら、雑所得122万5千円 → 課税所得59万5千円 → 所得割額57,000円 → 約1万5,000円です。
所得割額が0円なら控除もゼロ
65歳以上で年金収入が153万円以下だと、雑所得(収入 − 110万円)が43万円以下になり、基礎控除だけで課税所得が0円になります。所得割額が0円なら、ふるさと納税の控除の受け皿がないので、寄附額の全額が自己負担になります。返礼品はもらえますが、税金面のメリットはありません。
年金収入がこの水準に近い人や、社会保険料控除・配偶者控除が大きい人は、寄附する前に通知書の所得割額を確認してください。所得割額が数千円しかない場合、上限額は2,000円の自己負担を差し引くとほとんど残りません。
医療費控除を受ける年は上限額が下がる
医療費控除を受けると課税所得が減り、住民税の所得割額も減るため、上限額も下がります。医療費が多い年は、上の計算の②で医療費控除も引いてから計算してください。医療費控除は確定申告が必要なので、その年はワンストップ特例ではなく確定申告で寄附金控除を申告します。詳しくはふるさと納税と医療費控除の併用をご覧ください。
年金受給者の手続きで注意すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ワンストップ特例 | 確定申告をしない人なら使える(寄附先は5団体以内)。年金受給者で確定申告が不要な人(年金収入400万円以下かつ他の所得20万円以下)は対象 |
| 確定申告をする場合 | 医療費控除を受ける人など。確定申告で寄附金控除も申告する |
| 控除の反映 | 翌年度の住民税から。年金から特別徴収されている場合、6月ごろの通知書で確認する |
ワンストップ特例の手順はワンストップ特例制度とは、確定申告に切り替える場合はふるさと納税の確定申告のやり方をご覧ください。
寄附先を探す
上限額の目安が出たら、あとは寄附先を選ぶだけです。どのサイトから申し込んでも、控除の計算と上限額は変わりません。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」(公的年金等に係る雑所得の速算表・公的年金等に係る確定申告不要制度。令和8年4月1日現在法令等)国税庁のページ
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」(控除の計算式)総務省のページ
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」(ワンストップ特例は確定申告の不要な給与所得者等で寄附先が5団体以内の人)総務省のページ
- 東京都主税局「個人住民税」(所得割の税率:都民税4%・区市町村民税6%、調整控除は最低2,500円)東京都主税局のページ
- 浜松市「所得控除の種類 その3(扶養控除等)」(住民税の基礎控除は合計所得金額2,400万円以下で43万円)浜松市のページ/浜松市「税額控除」(ふるさと納税の特例控除は所得割額(調整控除後)の20%が上限)浜松市のページ
いずれも2026年9月26日に確認しました。計算例の社会保険料は仮の数字です。個別のご判断は、お住まいの市区町村の税務担当または所轄の税務署にご確認ください。


