ふるさと納税の制度の変遷と規制強化の経緯|創設から2027年までの年表と受入額の推移

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ふるさと納税は、2008年の寄附から住民税の特例控除が使えるようになった制度です(平成21年度分の住民税から)。2015年に控除の上限が引き上げられ、ワンストップ特例ができました。その後、返礼品の競争が過熱したとして、総務省は2017年・2018年の総務大臣通知で自治体に良識ある対応を求め、2019年6月からは総務大臣が対象の自治体を指定する制度に変えました。指定の基準は、その後も段階的に厳しくなっています。
この記事では、総務省の資料、地方税法、最高裁判所の判決で確かめた改正を年表にし、受入額の推移と合わせて整理します。確認日は2026年9月27日です。
年表:創設から2027年まで
時期 | 変わったこと |
|---|---|
2008年の寄附から(平成21年度分の住民税から) | 都道府県・市区町村への寄附に、住民税の特例控除ができる(ふるさと納税の始まり) |
2015年(平成27年度税制改正) | 特例控除の上限を、住民税所得割の1割から2割に引き上げ。確定申告をしない給与所得者などが使えるワンストップ特例を創設 |
2017年・2018年 | 総務大臣通知で、返礼品について良識ある対応を要請 |
2019年6月1日 | 総務大臣が対象の自治体を指定する制度が始まる。基準は、募集の適正な実施(経費の総額5割以下など)、返礼割合3割以下、地場産品 |
2020年6月30日 | 最高裁判所が、総務大臣が泉佐野市を指定しないとした決定を取り消す。7月3日に総務大臣が泉佐野市・高野町・みやき町を指定 |
2023年10月1日 | ワンストップ特例の事務など、募集に付随する費用も経費に含めることを告示に明記 |
2024年10月1日 | 地場産品基準の見直し(区域内の工程が企画立案などのもの、区域内で提供される宿泊などの役務) |
2025年6月17日・9月30日 | 基準に違反した6市町の指定の取消し |
2025年10月1日 | 寄附に伴ってポイントなどを付ける者を通じた募集の禁止 |
2026年10月1日 | 経費の基準を地方税法に移し、寄附金活用可能額52.5%以上に(2029年10月から60%以上)。区域外の原材料を使う加工品は「価値の過半」の証明と公表が必要に |
2027年の寄附から | 住民税の特例分に193万円の上限(令和10年度分の住民税から) |
2025年以降の変更の中身と、寄附する人への影響はふるさと納税の制度改正 2025〜2027年の年表にまとめています。
受入額と件数の推移
総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果」(2026年7月31日公表)による全国の合計です。
年度 | 受入額 | 受入件数 |
|---|---|---|
平成20年度(2008年度) | 81.4億円 | 5.4万件 |
平成21年度 | 77.0億円 | 5.6万件 |
平成22年度 | 102.2億円 | 8.0万件 |
平成23年度 | 121.6億円 | 10.1万件 |
平成24年度 | 104.1億円 | 12.2万件 |
平成25年度 | 145.6億円 | 42.7万件 |
平成26年度 | 388.5億円 | 191.3万件 |
平成27年度(2015年度) | 1,652.9億円 | 726.0万件 |
平成28年度 | 2,844.1億円 | 1,271.1万件 |
平成29年度 | 3,653.2億円 | 1,730.2万件 |
平成30年度 | 5,127.1億円 | 2,322.4万件 |
令和元年度(2019年度) | 4,875.4億円 | 2,333.6万件 |
令和2年度 | 6,724.9億円 | 3,488.8万件 |
令和3年度 | 8,302.4億円 | 4,447.3万件 |
令和4年度 | 9,654.1億円 | 5,184.3万件 |
令和5年度 | 1兆1,175.0億円 | 5,894.6万件 |
令和6年度 | 1兆2,727.5億円 | 5,878.7万件 |
令和7年度(2025年度) | 1兆3,314.3億円 | 5,963.0万件 |
- 平成27年度の受入額は、前年度の約4.3倍でした(388.5億円→1,652.9億円)
- 指定制度が始まった令和元年度は、前年度より減りました(5,127.1億円→4,875.4億円)
- 令和7年度の1兆3,314.3億円は、この表の中でいちばん多い額です
2019年の指定制度と泉佐野市の訴訟
2019年6月1日に施行された地方税法の改正(平成31年法律第2号)で、ふるさと納税の対象は総務大臣が指定する自治体に限られました。指定を受けていない自治体への寄附は、ふるさと納税(特例控除)の対象になりません。
基準 | 中身 | 対象 |
|---|---|---|
募集適正基準 | 制度の趣旨に沿った募集の方法、経費の総額を寄附額の5割以下にすることなど | すべての自治体 |
返礼割合3割以下基準 | 返礼品の調達費を寄附額の3割以下にする | 返礼品を送る自治体 |
地場産品基準 | 返礼品を地場産品にする | 返礼品を送る自治体 |
最高裁判所は2020年6月30日、総務大臣が2019年5月14日に泉佐野市を指定しないとした決定を取り消しました(令和2年(行ヒ)第68号 不指定取消請求事件)。判決は、平成31年総務省告示第179号の第2条第3号のうち、法律の施行前の寄附金の募集と受領について定める部分を、法律の委任の範囲を超えた違法なもので無効としています。総務大臣は7月3日、告示の第2条第3号を削除し、泉佐野市・高野町・みやき町を、2019年6月1日から2020年9月30日までの期間について指定したと述べています。
2023年以降の基準の見直し
- 経費(2023年10月1日):ワンストップ特例や受領証の事務など、募集に付随する事務の費用も経費に含めることを告示に明記(令和5年総務省告示第244号)。詳しくはふるさと納税の5割ルールとは
- 地場産品(2024年10月1日):区域内の工程が製造などではなく企画立案などのものや、区域内で提供される宿泊などの役務について、地域で生じた付加価値や地域との関連をより重視する形に見直し。詳しくはふるさと納税の地場産品基準とは
- ポイント(2025年10月1日):寄附に伴ってポイントなどを付ける者を通じた募集を禁止。詳しくは楽天ふるさと納税のポイントはどうなった?
- 経費の基準の法律化(2026年10月1日):寄附金活用可能額52.5%以上で、1年ごとに2.5ポイント上がり、2029年10月から60%以上
- 控除の上限(2027年の寄附から):住民税の特例分に193万円の上限
2025年6月17日と9月30日には、基準に違反した6市町の指定が取り消されました。取り消された自治体への寄附は、特例控除の対象になりません(2026年10月以降の指定)。
住民税の控除額と、受入額・控除額の多い団体
2025年中のふるさと納税による令和8年度課税の住民税控除額は、全国で9,524.4億円、控除を受けた人は1,151.4万人でした(うちワンストップ特例は614.2万人)。住民税控除額は、その自治体の住民がふるさと納税をしたことで住民税から控除された額で、道府県民税と市町村民税の合計です。
順位 | 受入額が多い団体(令和7年度) | 住民税控除額が多い団体(令和8年度課税) |
|---|---|---|
1 | 大阪府泉佐野市:230.4億円 | 神奈川県横浜市:373.3億円 |
2 | 北海道白糠町:223.3億円 | 愛知県名古屋市:215.3億円 |
3 | 宮崎県都城市:216.5億円 | 大阪府大阪市:207.0億円 |
4 | 北海道別海町:211.6億円 | 神奈川県川崎市:170.3億円 |
5 | 愛知県名古屋市:174.5億円 | 東京都世田谷区:134.4億円 |
上位20団体までの一覧は、総務省の現況調査結果に載っています。
寄附する人が確かめること
- 寄附先が指定されているか:指定されていない自治体への寄附は、特例控除の対象になりません。2026年10月からの期間の指定は2026年10月以降の指定にまとめています
- 上限額:さとふるの控除上限額シミュレーションで年収と家族構成から目安を出せます
- 控除の手続き:ワンストップ特例か確定申告が必要です(ワンストップ特例制度の申請手順)
関連する記事
出典
- 総務省「寄附金税額控除の概要(個人住民税)」(ふるさと納税:平成21年度拡充(特例控除額の創設)、平成28年度拡充(特例控除額の上限引上げ))。2026年9月27日確認
- 総務省「ふるさと納税制度とは」(平成27年度税制改正、平成29年・30年の総務大臣通知、指定制度の基準)。2026年9月27日確認
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(2026年7月31日。受入額・件数の推移、住民税控除額、上位20団体)。2026年9月27日確認
- 最高裁判所 令和2年6月30日第三小法廷判決(令和2年(行ヒ)第68号 不指定取消請求事件)、判決全文。2026年9月27日確認
- 総務省「高市総務大臣閣議後記者会見の概要」(令和2年7月3日)。2026年9月27日確認
- 令和5年総務省告示第244号(2023年10月1日から)。2026年9月26日確認
- 総務省 報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2024年6月28日)。2026年9月27日確認
- 総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」(2026年3月24日。段階的な割合、過去の指定取消し事例)。2026年9月26日確認
- 地方税法(e-Gov法令検索、2027年1月1日施行の版):第37条の2、第314条の7、令和8年法律第2号の附則。2026年9月27日確認


